モンゴル政務週間動向(2009.04.13-04.19)
1.内政
(1)大統領
(イ)4月13日、エンフバヤル大統領はドルノゴビ県ザミン・ウード市を視察し、地元市民や支持者らと会合した。同14日にはゴビスムベル県、ドンドゴビ県を視察する予定。(14日USH)
(2)首相、内閣
特段の動きなし。
(3)閣議
(イ)4月13日、臨時閣議が開催され、次の議題等が審議された。(a)道路、運輸、建設、都市開発分野で実施予定のプロジェクトの融資に関心を有する投資家等に対し「エルデネス・MGL」国有会社によって鉱業製品の提供を保証することについて審議し、決定した。(b)モンゴル国の経済安定化支援を目的として国際通貨基金(IMF)が4月1日に承認した「スタンド・バイ」計画について審議。政府として同計画を支持することとした。(c)ロシア鉄道協会との共同による合弁か企業の設立について原則的に承認。同合弁会社にはモンゴル側から「エルデネス・MGL」国有会社及び「モンゴル鉄道」株式会社が参画することとなる。(14日US)
(ロ)4月15日、定例閣議で農業法改正法案について協議され、国家大会議に提出されることとなった。(16日AE)
(ハ)4月16日、定例閣議が開催され、次の議案につき審議し決定した。(a)農業法の改正法案を支持。(b)外国人に対し狩猟が許可されている野生動物(野生ヤギ、野生羊、カゼル、狼、鷹等)の2010年における許可頭数と特別料金を決定。(16日US)
(4)国家大会議
(イ)会派、委員会の動き
(a)4月13日、民主党院内会派会議が開催され、(ⅰ)モンゴル国法令を2012年までに改善するための基本方針に関する国家大会議決議案、(ⅱ)ビニール袋利用の制限に関する法律案、(ⅲ)モンゴルとドイツとの政府間技術協力協定の承認等につき審議され、原則的に支持することとなった。オヨー・トルゴイ鉱床開発投資契約案については引き続き契約案の修正を検討することが妥当であるとされた。(14日US)
(ロ)常任委員会
(a)4月14日、国家組織常任委員会で国家大会議議員の倫理規則について第1回の審議が行われ、同規則の対象範囲を国家大会議議員のみでなく政府高官まで拡大することが支持された。同規則には、国家大会議議員らは、月給を上回る額の贈与品を受け取ることを禁止する等の項目が含まれている。(15日ZM、UN)
(b)4月14日、自然環境・食糧・農牧業常任委員会で、ビニール袋の使用制限に関する法案について協議された。同法案は厚さが0.5mm以下のビニール袋を小売店等で買い物袋として使用することを制限するもの。現在買い物用ビニール袋の90%以上が中国から輸入されている。採択の結果、同法案を本会議で審議することとなった。(15日US)
(c)4月15日、法務常任委員会が開催され、3つの議題につき協議された。そのうち、大統領により提案された国家登記に関する法案の協議についてZ.エンフボルド、テムージンら民主党議員は「同法案の提案は現大統領による選挙活動である。」と批判。重要な問題である同法案について、大統領選挙前の今の時期に審議することは不適切であるとし、民主党側は審議の延期を要請。審議は中断した。(16日US)
(ハ)本会議
(a)4月16日、政治粛正者の名誉回復及びその補償金に関する改正法案が可決された。また、国家大会議議員の倫理規則の承認に関する国家大会議決議案の第1回審議が行われた。(17日AE)
(ニ)大統領選挙
(a)4月12日、エルベグドルジ国家大会議議員(民主党)大統領選挙候補は、ヘンティー県で同県民との集会を行った。(14日MM)
(b)人民革命党から民主党に公正な選挙のための協定案が提出されたことを受け、4月13日、民主党は人民革命党への回答として、同党からの申し入れに賛同を示す一方で、同協定に加えるべき点として次の5点をあげ、人民革命党側に要請したことを公表した。(ⅰ)バヤル首相を人民革命党の大統領選挙対策本部長に任命していることは公正さを欠くため、これを見直す。(ⅱ)大統領の権限の範囲外である金銭分配を公約に挙げない。(ⅲ)各選挙管理委員会に政党無所属として参加している者の中には元人民革命党党員であったものが多く含まれる。これを是正するため、選挙管理委員会委員を再構成する。(ⅳ)選挙活動の際、行政サービス、国の財産等を非合法的に利用することをやめる。(ⅴ)二重投票、国民証明書の偽造等を防止し、1人1票の原則を遵守するため協力する。(15日MM)
(c)4月15日、今次大統領選挙の際、投票箱の封印のために用いるプラスチック・シールが在モンゴル英国大使館及びアジア基金の支援により中央選挙管理委員会に引き渡された。今回1万個のプラスチック・シールが供与されており、総費用は約1000万米ドルとなる。(16日UN)
(5)その他
(イ)国家大会議に議席を有する4つの政党及び無所属の国家大会議議員ら20名による超党派の「緑の会派」が新しく発足され、4月15日、バトエルデネ国家大会議議員(人民革命党)、G.バヤルサイハン(民主党)、シネバヤル国家大会議議員(人民革命党)、エンフバト(緑の党)らが記者会見を行った。同会派は自然環境問題における政府、国家機関、NGO及び国民の橋渡し役となること、自然への悪影響が懸念される法案及び議決案に対する監視を行うこと等を目的としている。鉱物資源開発時の自然環境への悪影響に対する慎重な対応等を求めており、特に、「金」国家プログラムの停止、ウラン開発時の環境対策、オヨー・トルゴイ銅鉱床開発の際の水対策問題等を指摘している。(16日UN)
2.外交
(1)一般
(イ)4月20日~22日の間、モンゴル戦略研究所とG.マーシャル欧州安全保障研究センターの共催による「北東及び中央アジアにおける現在及び将来の安全保障環境:ウランバートル・ニュー・ヘルシンキ」と題する国際フォーラムが開催される。(17日ZM)
(ロ)4月13日、モンゴルとカナダの政治及びビジネス分野を対象とした円卓会議が開催された。同円卓会議の長であるゾリグト鉱物資源・エネルギー大臣は同会議の開会の辞で、「カナダからモンゴルへの投資の関心は高まっており、建築、インフラ等の分野で両国が協力していく可能性がある。」と述べた。(14日ZM)
(2)要人往来
(イ)4月13日、バヤル首相はモンゴルを訪問中のLeonard・Edwardsカナダ外務副大臣と会談し、二国間関係について意見交換した。(14日AE)
(ロ)4月14日、中国・モンゴル両国政府間委員会が北京で開かれ、モンゴル側からはM.エンフボルド副首相及び関係者らが出席した。(15日ZM)
(ハ)4月13日~14日の間、バトボルド外交・貿易大臣は日本を実務訪問し、中曽根外務大臣、二階経済産業大臣、斉藤環境大臣らと会談し、両国の関係、協力について意見交換した。(17日UN)
(ニ)4月15日~18日の間、バトボルド外交・貿易大臣は韓国を訪問し、韓国外交・通商副大臣、知識経済大臣、韓国国際協力事業団の総裁らと会談した。会談の際、韓国外交・通商副大臣は対モンゴル借款、無償援助の額を引き上げる韓国政府決定について表明した。(20日AE)
(ホ)4月14日~19日の間、バヤル首相は中国を訪問。同15日、習近平・中国国家副主席と会談を行うとともに、天津市の東疆保税区等を視察した。同日、「モンゴル道路・運輸・建設・都市計画省及び中国天津市人民政府の天津市濱海新区における経済・貿易活動の協力促進に関する覚書」に、バトトルガ「モ」道路・運輸・建設・都市計画大臣及び黄興国天津市長との間で署名がなされた。(15日首相府プレスリリース)
(ヘ)4月16日、中国を訪問中のバヤル首相は、内モンゴル自治区オルドス市を訪問。同17日、海南省三亜市で開催されたボアオ・アジア・フォーラムに参加するとともに温家宝・中国首相と会談した。同会談後、(a)モンゴル・中国政府間の鉱物資源、エネルギー分野における協力協定締結に関するモンゴル鉱物資源・エネルギー省と中国国家開発改革委員会との間の議定書、(b)モンゴル大蔵省と中国開発銀行コーポレーションとの間の金融協力に関する一般協定及び(c)モンゴル食糧・農牧業・軽工業省と中国国家品質監督検査検疫総局との間の食料品の輸出入に関する安全保障協力協定に署名がなされた。(17日首相府プレスリリース、20日MM)
【AE=日刊紙アルディン・エルフ、US=日刊紙ウドゥリーン・ソニン、UN=日刊紙ウヌードゥル、ZM=日刊紙ゾーニー・メデー、MM=日刊紙モンゴリーン・メデー、TR=人民革命党中央機関紙ウネン、USH=ウンデスニー・ショーダン、MT=モンツァメ紙】