モンゴル政務週間動向(2008.12.15-12.21)
1.内政
(1)大統領
(イ)12月15日、エンフバヤル大統領は大統領非常勤顧問のチャドラー科学アカデミー総裁、チョイジャムツ・ガンダンテグチレン寺院長、サランゲレル記者同盟会長、ガンバータル労働者協会会長、エルデネチメグ女性協会会長及びバヤルトサイハン農牧業組合協会会長らと会見し、それぞれの担当分野における現状及び課題について意見交換を行った。(16日AE)
(ロ)12月15日、エンフバヤル大統領は、オトゴンバヤル教育・科学・文化大臣、デルゲルツォグト自然環境・観光副大臣、ムンフバヤル・ウランバートル市長らと会談した。会談の席でエンフバヤル大統領は、ボグド山周辺の自然環境及び歴史文化遺産を今後如何に保護していくかについての調査・研究を、特別保護法の策定の是非も含め作業部会を設置して検討を進めていくことを提案した。(16日TR)
(ハ)12月16日、エンフバヤル大統領はビレグト首都議会議長及びムンフバヤル・ウランバートル市長と会見し、就任の祝辞を述べた。また、エンフバヤル大統領は、新しいウランバートル市のリーダーらに対し、100万人都市となったウランバートル市の発展に貢献し、活発な活動をするよう希望する旨述べた。(17日UN)
(ニ)12月18日、エンフバヤル大統領は「大統領と100人のジャーナリスト」会合に参加した。同会合は大統領とジャーナリストとの意見交換を目的とし、毎年、年末時期に開催されている。今回の会合では、次期大統領選挙、7月1日の騒乱及びその際に出された非常事態宣言、その他社会問題等関心を集めている話題について意見が交わされた。(19日TR)
(2)首相、内閣
(イ)12月15日、内閣樹立後100日を迎えるにあたり、政府、モンゴル商工会議所及び経営者連盟の共催による「官民パートナーシップ刷新に向けて」と題する会合が開催され、アルタンホヤグ第1副首相、ガンスフ自然環境・観光大臣、バヤルツォグト大蔵大臣、ドルゴル内閣官房長官らが参加した。(16日US)
(ロ)ボルド国防大臣はボルバータル国防事務次官、トゴー参謀総長らとともにウムヌゴビ県を視察した。現在、ウムヌゴビ県ダランザドガド第167部隊駐屯地を駐屯地のモデル地区とする活動の一環として同駐屯設備の改修及び改築、軍事機材の刷新等が行われている。また、一行はウムヌゴビ県の国境警備にあたる第131部隊を視察した。(16日ZM)
(ハ)バヤルツォグト大蔵大臣は金融問題への対策状況に関するインタビューに答え、「国家開発基金を商業銀行に置くことについては、具体的な銀行や配分額等が明確になり次第公表する。先日行われた「グローバル・イニシアチブ」アジア会議ではエンフバヤル大統領が大手銀行との円卓会議でモンゴルへの投資について提案している。また、12億トグログの国債を発行するとともに、国債コンサルタント会社の制限入札の案内を今週中に発送する。このように、外資を集める活動を精力的に行っている。」と述べた。(16日AE)
(ニ)アルタンホヤグ第1副首相は、エルデネット市で行われたモンゴル・ロシア合弁会社エルデネット鉱山工場の設立30周年式典に参加した。同式典での挨拶でアルタンホヤグ第1副首相は、エルデネット鉱山工場の技術革新及び石炭供給の面で、国が具体的な支援をすることを計画している旨述べた。(16日TR)
(ホ)12月16日、内閣樹立後100日を迎える行事の一環として、政府は市民社会団体の代表等と会合し、M.エンフボルド副首相から100日間に行われた政府活動内容について報告がなされた。市民社会団体の代表らからは、政府活動が市民に対してオープンでないこと、2008年に非政府団体に対し総額900万トグログを給付することが承認されたが現在に至るまで実施されていないこと、鉱物資源開発改正作業部会に市民代表を参加させていたが、彼らの意見が今回承認された鉱物資源開発に関する国家大会議決議に反映されておらず、鉱物資源開発に関する適切な政策を策定出来ずにいること等批判する意見が出された。(17日ZM)
(ヘ)12月20日、内閣樹立後100日を迎えた行事の一環として、バヤル首相を始めとする全閣僚が記者会見を行った。また、市民代表らとの意見交換会を行った。(22日MT)
(3)定例閣議(17日開催)
(イ)「飲酒酩酊法改正法案」を支持することとなった。現行法ではアルコール飲料の宣伝が禁止されているが、それに伴い違法な宣伝が増加する傾向にあるため、ビール、ワイン等のアルコール度数の低い飲料については制限的に広告を認めるとした改正法案をアルタイ国家大会議議員(無所属)が提案していたもの。(18日UN)
(ロ)モンゴルと韓国間の渡航条件の相互簡易化について両国の外務省間で交わす協定案について話し合われ、国家大会議の関連常任委員会と協議し、右協定案を近いうちに公式に決定することとなった。同件は、10月に行われたバヤル首相の韓国訪問の際、モンゴル及び韓国相互で一般旅券をもつ両国民に90日間の査証を発行することが両国間で協議されていたもの。(18日US)
(ハ)12月18日、臨時閣議が開催された。国家大会議で承認された国家開発基金法改正法の枠内で、国家開発基金の資金を商業銀行に政府預金及び有価証券として預けることが適切であるとして、大蔵省が同改正法の施行規則案を作成し、「国家開発基金の資金の金融市場への注入規則」の承認に関する政府決定が出されることとなった。同規則の策定は、(a)銀行システムの安定状況の維持、(b)銀行に対する国民の信頼の向上、(c)銀行の迅速な債務処理対応の支援等を目的としている。(19日ZM)
(4)国家大会議
(イ)会派、委員会の動き
(a)12月15日、民主党院内会派は「障害者権利条約の批准に関する法案」及び「ガス供給に関する法案」につき協議し、支持することとした。また、サイハンビレグ民主党院内会派会長は、「同会議で銀行の問題につき協議したが、デリケートな問題を含むため協議内容は非公開とする。政府及び国家大会議が現状に対して、いかなる対策をとるべきか、どのように迅速な対処をすべきかにつき、各議員から意見が出された。」と述べた。(16日US)
(ロ)常任委員会
(a)12月16日、安全保障・外交政策常任委員会で、「障害者権利条約」及び「障害者権利条約追加議定書」の批准に関する法案を審議することが決定された。(17日US)
(ハ)本会議
(a)12月19日、政府機構改編案が第1回審議で可決された。これにより現在65ある政府エージェンシーが42と改編・縮小される。また、政府機構の改編にあわせて関連法律に改正が加えられることとなった。(22日MT)
(ニ)国家大会議総選挙(以下「総選挙」)及び統一地方選挙
(a)12月17日、バヤル首相は、統一地方選挙で選出された首都議会議員及び県議会議員、また県知事らに任命状を手交した。(18日TR)
(5)その他
(イ)12月15日、ムンフバヤル前首都議会議長が、バヤル首相の承認を得て、新ウランバートル市長に就任した。(16日US)
(ロ)12月15日、市民運動団体は記者会見で、国家大会議決議によりオヨー・トルゴイ及びタバン・トルゴイ鉱床の契約締結が政府に委任されたこと及び契約の基本方針・ガイダンスの内容に対する批判を表明し、「(同契約内容は)2つの鉱床を質に入れるようなものであり、国家の独立を脅かすものである。2007年にモンゴルで採掘された金の83%を外国企業が採掘しており、「ボロー・ゴールド」社、「アルタン・ドルノド」社等に対し68%の超過利潤税を適用しなかったため、モンゴル国は大きな損失を受けている。もし政府が外国の要請に従って、外国に有利な形で右2つの鉱床開発の契約を結ぶことになれば、自分たちはこれに徹底的に抗議する。」と述べた。(16日US)
(ハ)12月10日にモンゴル中央銀行が監視下に置き、事業の一時停止措置を取っていたアノド銀行が、12月15日から平常通りの活動を再開した。(16日ZM)
(ニ)12月16日、ガソリン価格が1リットル当たり200トグログ値下げされた。ガソリン供給会社は値下げの理由を、ガソリンの世界市場が下落したためと説明している。これにより、レギュラーガソリン小売価格は1リットル当たり約1190~1390トグログ、ディーゼルガソリン小売価格は1リットル当たり1440~1640トグログとなる。(17日US)
(ホ)12月18日、大使会議が対外関係省にて開催され、各国に駐在するモンゴルの大使、領事ら30名以上が参加した。(19日UN)
(ヘ)12月20日、人民革命党総会(バガ・ホラル)が開催され、新幹事長が選出された。無記名投票の結果70%超の支持を得て、U.フレルスフ元国務大臣・前国家大会議議員が選出された。他に候補者として指名されたのはTs.スフバータル人民革命党副幹事長及びシーレグダムバ前自然環境大臣。(22日各紙)
(ト)ウランバートル市スフバータル区裁判所は、オトゴンバヤル元非常事態担当国務大臣を、公務員職権濫用の罪で4年間の禁固刑とする判決を出した。オトゴンバヤル元非常事態担当国務大臣は上訴する意向を示している。(22日UN)
2.外交
(1)一般
(イ)バトトルガ道路・運輸・建設・都市計画大臣は、ゴボーリン在モンゴル・ロシア大使と会談し、鉄道及び道路分野におけるモンゴルとロシアの交流をより活発化し、モンゴルを経由する通過貨物を拡大することにつき意見交換を行った。また、バトトルガ道路・運輸・建設・都市計画大臣は政府行動計画に反映されているザミーンウード~アルタンボラグ間の990キロメートルの高速道路の敷設、10万戸の住宅団地建設計画の実施に際し、モンゴルとロシア間との協力を希望している旨表明した。(17日MM)
(2)要人往来
(イ)12月19日、モンゴル政府の招待によりモンゴルを公式訪問している王家瑞中国共産党中央対外連絡部長は、エンフバヤル大統領及びバヤル首相をそれぞれ表敬した。(20日TR)
(ロ)デンベレル国家大会議議長を団長とする代表団は、12月10日~15日の間、中国を公式訪問した後、12月15日~19日の日程でラオスを公式訪問している。12月18日、デムベレル国家大会議議長は、チュンマリー・サイニャソーン・ラオス国家主席を表敬した。(20日TR)
【AE=日刊紙アルディン・エルフ、US=日刊紙ウドゥリーン・ソニン、UN=日刊紙ウヌードゥル、ZM=日刊紙ゾーニー・メデー、MM=日刊紙モンゴリーン・メデー、TR=人民革命党中央機関紙ウネン、ZS=ゾーニー・ショーダン、MT=モンツァメ紙】