モンゴル政務週間動向(2008.12.08-12.14)
1.内政
(1)大統領
(イ)12月10日、エルデネット鉱山工場設立の30周年を記念して、エンフバヤル大統領はエルデネット鉱山工場の職員ら10名以上に、労働英雄及び労働功労者の称号を授与した。(11日UN)
(ロ)12月10日、ボルド国防大臣、ボルバータル国防事務次官、トゴー参謀総長らがエンフバヤル大統領を表敬し、軍規の改定案を提出した。同規則は1999年に策定された後改定されておらず、安全保障、軍隊及び関連法令の現状に合わせるため、今回の改定案が策定された。エンフバヤル大統領は、同改定案を検証の上、決定を出すとした。(11日TR)
(2)首相、内閣
(イ)12月12日、トゥムルオチル教育・科学・文化副大臣は、ウランバートル市の一般教育学校及び幼稚園の教職員らがストライキを宣告していたが、これに対し政府は教師らの要求を受け入れることを決定したため、ストライキは中止されることとなったと発表した。来年度の国家予算では歳入の20%が教育分野に向けられることが決定されている。また、教職員への報奨金が供与されることとなり、具体的方策につき今後協議されることとなる。(13日UN)
(3)定例閣議(10日開催)
(イ)国連の平和維持活動の一環であるシエラレオネの特別裁判所警備にあたるモンゴル国軍第7次隊の派遣が承認された。シエラレオネへのモンゴル国軍派遣は2006年1月に開始され、これまで1500名が派遣されている。各部隊は6カ月期限での派遣となっており、現在派遣されている第6次隊は、2009年1月25日にその任務期間を終了する。(11日ZM)
(ロ)タバン・トルゴイ及びオヨー・トルゴイ鉱床開発の際のコンサルタント機関を関連法律に則り選出するための作業部会を設置することがゾリグト鉱物資源・エネルギー大臣、バヤルツォグト大蔵大臣及びガンスフ自然環境・観光大臣に課せられた。2つのプロジェクトの規模、選出時の基準、期限等を考慮すると、早急に制限入札を公表し、審査をすることが要求される。また、コンサルタント機関は、これまでに大規模プロジェクトの経験及び大手鉱山会社と協力する能力を有するものであることが必要であるとの考えを政府は示している。(11日ZM)
(ハ)祝祭に際して拠出される無駄な経費を削減することが妥当であるとし、2009年の新年を迎えるにあたり、グリーティング・カード及び贈呈品の交換、パーティ及びレセプションでのコンサート費用等を予算で賄うことを禁止することとした。同決定は、官公庁及び国家機構に適用される。(11日ZM)
(4)国家大会議
(イ)会派、委員会の動き
(a)12月8日、人民革命党院内会派の会派規則が改定された。改定規則によると、院内会派会議は基本的に非公開で、出席率に関係なく開催される。会議中は出席者の携帯電話を徴集する。院内会派の会議記録は同組織の守秘事項となる、等。(9日UN)
(ロ)常任委員会
(a)12月9日、国家組織常任委員会で「国家行政機構構成に関する国家大会議決議案」の第1回審議が行われた。同決議案に対し、民主党側から11の追加修正案が出されたが、いずれも却下された。同決議案は本会議に上程されることとなった。(10日US)
(b)12月9日、予算常任委員会は「国家開発基金法改正法案」について本会議で審議することが妥当であると決定した。同改正法案は当初11月17日に政府から提案され審議されていたが取り下げられ、再び改正案が提出されていた。同法を改正することにより国家開発基金に含まれるリスク基金を一旦国庫に移し、その資金を商業銀行に運用することが可能となる。(10日US、ZM)
(c)12月9日、予算常任委員会で「国家開発基金により小麦を備蓄する件について協議された。政府から、国家開発基金で小麦1トンあたりを40万トグログで購入する案が出されたもの。農民にこの資金を渡すことは喫緊の課題であるとして、第1回審議で決議することについて支持された。(10日US)
(d)12月9日、予算常任委員会でタバコ税の増税についての法案が審議され、同法案の審議の可否が国家大会議に提出されることとなった。バヤルツォグト大蔵大臣から提案されたタバコ税の増税により喫煙者数の減少が見込めるとの同法案に対し、ガントゥムル国家大会議議員(民主党)は「車輌特別税の増税は賄賂・汚職の蔓延に繋がった。酒類税の増税は、中国の安価な酒類の消費を増やした。タバコ特別税の増税も、中国製の安価で低品質なタバコの消費を増やすことになるだけである。不況の時期に税制を過度に変えるのは誤り。」と批判した。(10日ZM)
(ハ)本会議
(a)12月11日、国家開発基金の資金を国庫に移し、国庫から商業銀行に資金注入をするとした内容の開発基金法改正法案が第1回審議で承認された。これにより、国家開発基金にある4,551億トグログが商業銀行に注入されることとなる。現在16行ある商業銀行にどの程度の資金をどのように分配して注入するかについては政府が決定する。(12日ZM)
(b)12月11日、国家開発基金から400億トグログを拠出し、小麦の備蓄に充てることが第1回審議で可決された。これにより、10万トンの小麦が国家備蓄として準備されることとなる。(12日AE)
(c)12月12日、タバコ税増税に関する改正法案を審議することが決定された。同改正法案ではタバコ税を倍増することで、105億トグログの税収が見込めるとされている。(13日UN)
(d)12月12日の本会議で政府機構改編の審議が行われる予定であったが、民主党が審議の中断を申し出たため、審議は延長された。(15日ZM)
(ニ)国家大会議総選挙(以下「総選挙」)
(a)民主党は中央選挙管理委員会委員長に対し、第25選挙区の公式結果を早期にエンフバヤル大統領に報告すること、或いは中央選挙管理委員会委員長は関連法律に従って速やかに国家大会議に辞表を提出することを強く求める要請書を提出した。(15日US)
(5)その他
(イ)12月8日、バダムスレン鉱物資源法改正作業部会長(国家大会議議員、人民革命党)による記者会見が行われた。記者会見では、12月4日の国家大会議本会議で承認された鉱物資源開発に関する国家大会議決議の要旨として(a)これまで提出されていた鉱物資源法改正法案を取り下げる、(b)オヨー・トルゴイ及びタバン・トルゴイ鉱床について個別の投資契約を締結して鉱床開発を進める、(c)右2つの鉱床の個別契約案を、政府は現行の鉱物資源法及び同国家大会議決議の中で承認された「基本方針及びガイダンス」に則り策定し、要すれば関連法律の改正法案とともに2009年2月1日までに国家大会議に提出する、(d)契約締結の進捗過程を経済常任委員会に報告することを政府に義務付ける、等が決定したと述べられた。(9日ZM、UN)
(ロ)12月10日、モンゴル民主同盟の設立を記念してチンギス・ハーン像に献花がされる他、国立歴史博物館で故ゾリグ氏の写真展の開催式典が行われる。(9日UN)
(ハ)「エルデネス・MGL」国有会社社長にB.エネビシ氏が就任した。同社ではゾリグト前社長が鉱物資源・エネルギー大臣に任命された後、後任が未定のままであった。エネビシ氏は1965年生まれ、「バト・マイニング」社を始め、鉱山会社の社長を歴任し、1996年から1999年(民主党が与党時)には国家大会議事務局法律課長を務めた。2000年からは国連に勤務していた。民主党との関係も強いが、バヤル首相とは親しい関係を続けてきたと言われる。(10日US)
(ニ)12月9日、人民革命党首都委員会はムンフバヤル首都議会議長を新しいウランバートル市長に任命する案を満場一致で支持した。(10日US)
(ホ)「アージン・チョノ」社製造のウォッカで中毒死亡者を出した事件の裁判がバガノール区裁判所で行われ、セレンゲ同社取締役会長を始め、同事件に関係する9人が5年から8年の禁固刑を言い渡された。(10日ZM)
(ヘ)12月10日、バトスフ・モンゴル銀行総裁、エンフホヤグ同行第一副総裁及びガンバータル監視・検査庁長官が記者会見を行った。同記者会見では、(a)モンゴル銀行は、銀行法の規定に基づき、12月10日からアノド銀行の経営をモンゴル銀行の管理下に置いた、(b)モンゴル銀行が任命した本件処理のための全権代表は、同行の経営を安定及び預金保護の措置の一環として、12月10日から3営業日の間、同行の総資産を管理・登録する作業を行う、(c)同行の営業は12月15日から再開することとする、というもの。(11日各紙)
(ト)12月10日、第1回首都議会が開催され、ムンフバヤル首都議会議長をウランバートル市長に、ビレグト・ウランバートル市長を首都議会議長に任命する案を可決した。同任命案はバヤル首相に提出される。(11日UN)
(チ)12月8日、汚職対策庁はグンダライ国家大会議議員の特権を一時停止する措置を求める要請書を国家検察局に提出した。同要請はこれまで3度提出されており、今回で4度目となる。(11日UN)
(リ)12月10日、ウランバートル市内の一般教育学校及び幼稚園の教職員らが、教職員の待遇改善を求め、12日からストライキを行う予定であることを発表した。トンガラク労働者組合教育科学分野担当事務局長は、「教師の月給は平均250,000トグログ、若い教員の場合は176,000トグログであり、これは生活が出来る水準ではない。待遇改善を望む要請書を教育・科学・文化省、社会福祉・労働省及び大蔵省に提出したが、大蔵省からは回答がないため、今回ストライキに踏み切ることを決定した。」と述べた。(11日MM)
(ヌ)民主党は新しく4人の副幹事長を任命した。副幹事長兼政策担当課長にTs.ジャダムバ、副幹事長兼対外関係協力担当課長にTs.スフバータル、副幹事長兼党組織担当課長にP.ガンホヤグ、副幹事長兼人材担当課長にB.オルガマルツェツェグがそれぞれ任命された。(13日UN)
(ル)国家統計局の調査報告によると、最近の2カ月、物価上昇指数が下降傾向にある。下降の主要な要因は、肉、小麦粉及びガソリンの価格が下がったことによる影響とみられている。(13日US)
2.外交
(1)一般
(イ)アルタンホヤグ第1副首相(モンゴル・ロシア政府間委員会モンゴル側委員長)はブラディミール・イワノビッチ・ヤクーニン・ロシア鉄道協会会長と会談した。会談ではモンゴルとロシアの鉄道分野における共同出資企業の設立、ウランバートル鉄道の事業支援、通過車輌の増加、鉄道分野の人材育成等についてモンゴルとロシアの協力を促進することが話し合われた。(10日MM)
(ロ)12月12日から14日の間、韓国のアン・チュル・シク情報経済部鉱物資源担当大臣及び鉱山開発分野の代表団らがモンゴルを訪問する。一行はタバン・トルゴイ鉱床開発及びウラン利用について関心を示しており、今回の訪問で、モンゴルの鉱物資源分野の視察を行うとともに、ゾリグト鉱物資源・エネルギー大臣、バダムスレン国家大会議議員(鉱物資源法改正作業部会長)及びエンフバト原子力エネルギー委員会副委員長と会見する予定。(12日AE)
(2)要人往来
(イ)12月2日~3日の間、エンフバヤル大統領は香港で開催された「グローバル・イニシアチブ」アジア会議に参加し、クリントン元米国大統領と会談した。また、香港訪問の際、Deutsche Bank主催のビジネス円卓会議、モンゴル・香港投資家フォーラムに参加するとともに、Morgan Stanley, Bank of Chine, HSBC等、世界的に有名な銀行及び金融機関の代表者らと会談した。同会議には、バトボルド対外関係大臣、バヤルツォグト大蔵大臣、フレルバータル予算常任委員会委員長、エルベグドルジ国家大会議議員(民主党)、バトスフ・モンゴル中央銀行総裁らが参加した。(10日UN、AE)
(ロ)12月10日から、デムベレル国家大会議議長の中国公式訪問が始まった。中国の後、ラオスを訪問する予定。U.エンフトゥブシン国家大会議議員、オヨーンホロル国家大会議議員、ダシドルジ国家大会議議員、D.バトバヤル国家大会議議員、テルビシダグワ国家大会議議員、アルタンゲレル国家大会議議員、ツォルモン保健副大臣らが同行している。(11日ZM)
【AE=日刊紙アルディン・エルフ、US=日刊紙ウドゥリーン・ソニン、UN=日刊紙ウヌードゥル、ZM=日刊紙ゾーニー・メデー、MM=日刊紙モンゴリーン・メデー、TR=人民革命党中央機関紙ウネン、ZS=ゾーニー・ショーダン、MT=モンツァメ紙】