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ウランバートル市における大気汚染について
平成25年12月18日
在モンゴル日本国大使館
ウランバートル市では人口増加等に伴う大気汚染問題が顕在化しています。本年10月、世界保健機関(WHO)の専門機関である国際がん研究機関(IARC)が、微小粒子状物質(PM10及びPM2.5)など大気汚染物質が人体において発がん性があると初めて認定し、5段階のリスク評価で最も危険が高い「グループ1」に分類されました(出典1)。
特にウランバートル市内では厳冬期にあたる11月~2月頃にかけて各種汚染物質の濃度が高い状態となることから留意が必要であり、以下のとおり参考情報をお知らせいたします。
1.対策
大気汚染対策として一般的に以下の対策が考えられます。汚染の程度が激しいと感じるときにはこれらの対策をとることをお薦めします。
(1)不要不急の外出や長時間の屋外活動を避ける。(呼吸器や循環器に疾患のある方、高齢者・子供は、体調に応じ、より慎重な行動が望まれます)。
(2)外出時にはPM2.5対応マスクを正しく着用する。(高性能な「N95」という規格を満たしたマスクを用いる場合であっても、空気が漏れないように着用しなければ、十分な効果が期待できません。)
(3)窓の開放は可能な限りしない。住宅の隙間やドアなど外気の通り道をふさぐ。
(4)部屋のサイズに適した空気清浄機を選び日常的に使用する。
なお、環境省が定める微小粒子状物質(PM2.5)に係る「注意喚起のための暫定的な指針」では、PM2.5の1日平均値が70μg/㎥を超えた場合には、『不要不急の外出や屋外での長時間の激しい運動をできるだけ減らす。(高感受性者(呼吸器系や循環器系疾患のある者、小児、高齢者等)においては、体調に応じて、より慎重に行動することが望まれる。)』とされています(出典2)。
2.ウランバートル市の大気汚染の現状
(1)現在、モンゴルの気象・環境調査庁ではホームページを通じて、二酸化硫黄(SO2)や二酸化窒素(NO2)、粒子状物質(PM10、PM2.5)、一酸化炭素(CO)、オゾン(O3)などの計測結果を公表しています(出典3)。ウランバートル市では、土壌の粉塵、生の石炭や木材等を燃料とするストーブからの煤煙、増加する車両からの排気ガス等が「粒子状物質(PM10,PM2.5)」の発生源と考えられています(出典4)。モンゴルの気象・環境調査庁が公表している平成25年度のデータでは、PM10、PM2.5ともに1年を通してWHOの基準(年平均値 PM10:20μg/㎥、PM2.5:10μg/㎥)を超えています。
(2)なお、気象・環境調査庁では、当日の汚染値の速報を行っていないため、リアルタイムで正確な汚染状況を把握することは困難ですが、11月下旬のデータによれば、PM10値が317μg/㎥、PM2.5値が152μg/㎥(いずれも10日間の平均値)(出典3)であり、WHOの基準(1日平均値 PM10:50μg/㎥、PM2.5:25μg/㎥)を超過している状況が確認されていることから、恒常的な汚染として留意すべきであると考えられます。
(3)今後、当地における汚染源の特徴から、寒さがピークを迎える1~2月にかけてPMの濃度が更に高まることが予想されます。
【出典】
1.国際がん研究機関(IARC)プレスリリース(10月17日)
http://www.iarc.fr/en/media-centre/pr/2013/pdfs/pr221_E.pdf
http://www.iarc.fr/en/media-centre/pr/2013/pdfs/pr221_J.pdf
2.環境省ホームページ 微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報
http://www.env.go.jp/air/osen/pm/info.html
3.気象・環境調査庁(モンゴル語)
(トップページ) http://www.tsag-agaar.mn/
4.世界銀行報告書(2011年)
http://documents.worldbank.org/curated/en/2011/12/15633946/air-quality-analysis-ulaanbaatar-improving-air-quality-reduce-health-impacts-vol-1-2-main-report
【参考】
1.世界保健機構(WHO)ホームページ
http://www.who.int/entity/phe/health_topics/outdoorair/databases/OAP_database.xls
http://gamapserver.who.int/gho/interactive_charts/phe/oap_exposure/atlas.html
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs313/en/index.html
2.Curbing Air Pollution in Mongolia’s Capital(世界銀行ホームページ)